Last update: 3/10 21:55

HP 33s インプレッション


[スペック] [パッケージ] [小数点が見にくい] [実際に使ってみた] [思ったこと] [マニュアルの例題から] [マニュアルで比較する32SIIとの違い] [up バグ]

スペック


パッケージ

 こんなパッケージに入っています。分厚いマニュアルが付いています。

大きさの比較

 HP3兄弟(勝手に作った…現行モデルである49g+、12C)の比較。また、49g+と厚さを比較してみました。


小数点が見にくい

 1つ目の写真、小数点とコンマの違いがわかりますか? LCDの影と合わさるとどちらなのかわかりません。真正面から見ると2つ目のような写真になります。とにかく、小数点やコンマが小さいことがウィークポイントと言えそうです。


実際に使ってみた

動画(QuickTime mov)

 「123 ENTER 456 + 789 +」と入力している時の映像です。見えにくいかもしれませんが、ENTER や + を押下している間は、「ENTER」「+」の状況表示がなされます。また、2段となっている画面は通常、X,Yの両レジスタの内容を表示しています(自分にとってはこれだけでも33sの価値があるように思います)。


思ったこと

ALGモードはあまり使えない

 33sはAlgebraicモードも備えている。しかし、式の途中でバックスペースが効かない、過去の履歴が遡れない(上下矢印はPRGM用)などのデメリットがあり(おそらく17bII+などはこれができるのではないか)、Algebraicモードで使おうという気にはならない(カシオなど他の関数電卓の方が使いやすいだろう)。49g+と違い、初期設定がRPNになっていることもこれを裏付けている。

キーについて

 キータッチの感触ですが、49g+(シリアル333…のもの。最近は改善された模様)と比較すると良好。数字キーはほぼ良く、+や関数キーなどで多少硬さが見られる程度です。最上部の4キー(ENG,SOLVE,MODES,DISPLAY)は硬いので、マニュアルにあるように外側を押すと良いでしょう。

 おそらくほとんどの人が最も気にかかっているであろう、V字デザイン、およびそれに伴う中央キーの感触について。それほど悪くは無いが、良くも無いです。中央の2,5,8はやや硬めで、しかも8,5,2と中央列をキーインすると引っかかる感じがします。また、8を押そうとして直上の+/-を押してしまうことがありました。この電卓でタッチタイピングをしようとは思わない方が良いかもしれません。


マニュアルの例題から

積分計算

 マニュアル8-3にある例題です。

 例題 cos(X*sin(t)), ∫0→πrad., X=2

 マニュアルにある通り、DISPLAYで設定した表示桁数により、精度・演算時間が異なります。

 演算時間:ALL→46 sec, 7.0337362696E-1,FIX 4→6 sec, 0.7034

 この演算時間、果たして他機種との比較は? (cf. 49g+ → 11 sec, .703373626956)

三元連立方程式

 マニュアル15-12から記載されている三元連立方程式のプログラムも入れてみました。プログラムは5ページに渡っています。スタックとSTO/RCLを活用しながら延々と逆行列を求めていきます。

 入力し、Aから順にメモリに入れていき、サブルーチンを2ヶ所ほどやると、1秒位でx,y,zの答を導き出します。もう1回やると元の数字にもどる…はずですが、表示形式をALLにするとやはり誤差が出ています。カシオなどの「有効桁を多くとり誤差丸め」に慣れてしまうと、どうも気持ちが悪くなってしまいます。やはり、FIX 4あたりで使えということなのでしょうか。


マニュアルで比較する32SIIとの違い

 みなさんご存知の通り、HP 33sの一つ前の世代にあたる機種はHP 32SIIになります。両者ともマニュアルはPDFファイルで入手できます。実はこの二つ、例題も含めてほとんど同じ内容が掲載されています。その中で、HP 33sとHP 32SIIがマニュアルベースでどの程度違うかを、気づいた範囲で書き加えておきます。

キー記載の機能の違い(33s:1-7,G/32SII:1-5,F)

33sのみにある機能
x^3(立方),3√(立方根),SGN(正負符号),INT÷(商の整数部),Rmdr(剰余),INTG(パソコンのINT関数),CONST(定数),ALG(Algebraic),RPN(ALGからRPNに戻す),:(2変数の区切り),ENG(手動ENG表示),←ENG
32SIIではメニュー内だったものが33sではキーに刻印されている機能
IP(整数部),FP(小数部),ABS(絶対値),nCr(組み合わせ),nPr(順列),RAND(乱数),SEED(乱数種の設定)

優先順位の違い(33s:6-14/32SII:6-16)

 式の優先順位の表で、-X と X^? の順位が異なります。表によると33sはべき乗が優先、32SIIは負符号が優先となっています。ただし、-X^2の例(これを(-X)^2などと評価されてしまうと正負逆になり問題)などを考えても、32SIIのマニュアルの誤記である可能性が高いと思われます。32SIIの挙動はどうでしょうか?

誤差の違い(33s:8-6/32SII:8-7)

 {sin(X)}/Xの積分をしているのですが、誤差が微妙に違います。33sが1.61E0±1.61E-2,1.6054E0±1.6056E-4なのに対し、32SIIは1.61E0±1.00E-3,1.6054E0±1.0000E-5となっています。この数字だけ見ると32SIIの方が精度が高いように見えますが、誤差の算出方法が変わった(33sの方がより正しい誤差で32SIIは低く見積もっている)可能性もあります。

SOLVEの結果例(33s:D/32SII:C)

 SOLVEの結果例で、一方のみ NO ROOT FND となっているものがいくつもあります。SOLVEの方法が変わったとは考えられませんから、一方の誤記の可能性が高いと思うのですが、どうなのでしょう。


バグ

MoHPC報告のバグ(3/5)

 HP 33sにバグがあるとの報告が早くもMoHPC HP Forumでなされました。

 自分もこの症状を確認しました。詳しくはおまけで。

HPDATABaseによる他機種のバグ(3/9)

 もう一つ。HPDATABaseでは歴代機種のスペック等がまとめられています。その中のhp17bii+の記載で、以下のようなものがあります。

The following oddity has been observed:
- In RPN mode, type in 100,000,000,000 (without the commas of course)
and press ENTER
- Now type 0.4995 and press + (plus)
The display changes to 100,000,000,001, when it should not.
On a 17BII, you get 100,000,000,000.

 実はこれ、hp33sでも同じ症状となります。0.49でも0.499でも1とはならず、0.4995以上で1となります。この丸め処理、hp32sIIではどうだったのでしょうか。これも検証をお願いいたします。


おまけ

 気ままに更新中。気長にお待ち下さい。

hpcal@nekonohige.net